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実験動物指針

実験動物に関する日本糖尿病・肥満動物学会指針

日本糖尿病・肥満動物学会
平成20年3月1日 施行


 動物を用いた研究は、糖尿病や肥満研究の発展に必須の手段となっている。動物実験を通じて行われた研究は、生命現象の理解と解明に大きな役割をこれまでに果たしてきた。また、これらの研究成果は医学・医療に応用され、人類の健康維持と動物の福祉にはかり知れない貢献をしてきた。今後もその意義が失われることはないと思われる。日本における糖尿病・肥満研究が、科学的な動物実験計画の立案と動物の福祉という高い倫理性に基づいて実施されることは、不可欠であると考えられる。日本糖尿病・肥満動物学会は、本指針に従った動物実験が本学会会員すべてにわたって行われることを期待する。また、これに反して行なわれた研究成果については、本会の学会発表や紙面などにおいて排除する必要性があると考える。

 動物実験に際しての実験計画立案の科学性と、動物福祉の立場に立った倫理的規範は、すでに「動物の保護および管理に関する法律、法律第105号、平成11年改定」、「実験動物の飼養及び保管等に関する基準、昭和55年総理府告示第6号」、「International guiding principles for biomedical research involving animals. CIOMS 1984」、「Guide for the care and use of laboratory animals. DHEW Publication. No. (NIH) 85-23, 1996」、「動物実験に関する指針、日本実験動物学会 1987」、「サル類を用いる実験遂行のための基本原則、日本霊長類学会 1986」等に示されている。本学会もこれらの精神をふまえ、「動物の愛護および管理に関する法律」の制定、「鳥獣保護事業計画基準」の制定などに基づいて動物実験に関する基本的指針を制定するものとする。  なお、遺伝子組換え動物に関しては、自然界への拡散を防止するため、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97号)」ならびに「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律施行規則(平成15年財務・文部科学・厚生労働・農林水産・経済産業・環境省令第1号)が定められているが、これらの規制に関わる事項は本学会動物実験指針の対象外とした。



目的

 この指針は、大学およびその他の研究機関において行われる研究のための動物実験を計画し、実施する際に遵守すべき事項を示す。科学的にはもとより、動物福祉の観点からも適正な動物実験の実施を促すことを本動物実験指針の目的とする。
適用範囲

 この指針は、本学会会員によって行なわれる実験動物*を用いるすべての動物実験に適用されるものとする。
*考慮の対象とする実験動物の範囲は、基本的に生命を有する脊椎動物とその胚である。また、無脊椎動物が含まれることもある。これら以外も本動物実験指針を参考にする。
基本原則

 動物実験者は、ヘルシンキ宣言のヒトを対象とする医学研究の倫理的原則(2002年追加)第12項に示された、「研究に使用される動物の健康を維持し、または生育を助けるためにも配慮」や動物愛護管理法に示された、動物実験に関する3R(Refinement, Reduction, Replacement)に従って、動物実験計画を立案し、実施しなければならない。 そのために、次の3項目に努力を払う必要がある。
  1. 飼育施設の整備、実験方法の改良、施術技術の向上などを通じ、実験に伴う動物の苦痛やストレスを最小限に抑える。
  2. できるだけ少数の実験動物で有効な科学的成果を生むよう努力する。
  3. 動物実験に置き換えることのできる他の実験方法を積極的に取り入れる。
具体的な指針

1.実験計画の立案と実施

1-1)実験計画の立案
 動物を用いる実験を計画するにあたっては、以下のことを明確にする必要がある。実験目的と実験結果が科学的にみて価値が高く、動物を使うことが必要不可欠である。動物実験を行なう場合には、動物福祉の観点から動物に無用な苦痛を与えないようにする。なるべく少数の動物で目的とする科学的成果が得られるような計画を立案する。実験者および飼育技術者は、動物から危害や感染を受けないよう予防的処置を行ない、さらに関連法規を遵守する。

1-2)動物実験委員会
 会員の属する研究機関においては、平成18年6月1日に示された文部科学省および厚生労働省の動物実験の実施に関する基本指針により、動物実験委員会を設置しなければならない。この委員会は、動物実験が関係法令や機関の定めた指針に従い、科学的かつ倫理的に実施されるために動物実験計画を審査し、必要な助言を与え、適正な実施の監視を行う組織である。この委員会は、倫理的かつ科学的に妥当な動物実験を行う上で必要な知識と経験を有する実験動物の専門家、動物実験に関して優れた識見を有する者、その他必要と思われる者によって構成しなければならない。

1-3)実験計画書の審査
 動物実験者は、動物実験を行なう前に動物実験計画書を各研究機関に設置された動物実験委員会等に提出して事前に審査を受け、承認を受けなければならない。

1-4)動物実験ファイルの作成と保存
 動物実験者は、動物実験の実施状況を記載した動物実験ファイルを作成し保管しなければならない。この動物実験ファイルには、承認された動物実験計画書のコピー、健康上の問題および事故が生じた場合の対応と経過の記録、研究成果と研究発表などの記載などを含むものとする。

2.実験者の資格
 動物実験者は、動物実験を行なうに際しての法規や規則、基準、倫理、麻酔法、鎮痛法、動物実験代替法などについての知識を持ち、実験手技と実験動物の取り扱いに習熟していなければならない。十分な動物実験の経験のない研究者は、必ず熟練した実験者の指導の下で実験を行わなければならない。
3.実験動物の搬入
 すべての動物は合法的に入手しなければならない。遺伝子組換え動物や特定外来生物の授受、げっ歯目やサル類に属する実験動物の輸入は、関連法令に従わなければならない。動物の搬入に当たっては、実験者および飼育技術者への感染、および動物相互間の感染を防止するために、獣医師など専門的知識を有する者が必要に応じて動物の検疫を行う必要がある。特に人獣共通の感染症については、綿密な検査が必要である。野生動物を実験に使用する場合は、自然保護を考慮し、正規の手続きを経て取得したものに限る。輸入動物を使用する場合には、自然保護のためのワシントン条約を遵守しなければならない。
4.実験動物の飼養と保管

4-1)施設・設備
 動物は、清潔な環境下の動物実験施設で飼育することを原則とする。やむを得ず、動物実験施設以外で飼育する場合でも、清潔な環境下の行き届いた室内空間を整備し、特に逃亡、盗難に対して十分な対策を講じる。また、騒音・臭気等を防止し、感染予防策を講じた飼育管理条件を確保する必要もある。

4-2)動物の飼育環境と飼育管理
 動物を飼育するケージは、動物種と個体の大きさに応じて快適に生活できる広さを確保する。ケージとその周辺は清潔に保ち、換気、照明、温度、湿度などのコントロールを行う。飼料は栄養学的に適したものを与え、新鮮な水を給水するようにする。さらに動物種特有の行動や運動が出来るように配慮し、動物の不安やストレスを軽減するよう努める。

4-3)疾病管理
 動物の健康状態は定期的に調べる。病気の動物を発見した場合には、速やかに獣医師など専門的知識を有する者の助言を受けて、治療あるいは感染拡大の防止等のために適切な処置をとる。

4-4)実験者・飼育技術者の衛生と安全
 動物の飼育管理と実験を通じて、実験者・飼育技術者にとって安全で健康的な環境を維持する必要がある。動物による咬傷等の防止、感染の防止、消毒・洗浄用薬剤による環境汚染の防止に努める。特に人獣共通の感染症に対しては、検疫と感染防止に万全を期する。

5.実験操作と外科的処置

5-1)実験操作
 動物に苦しみや痛みを与えないように、特に実験中は最大限の努力を払わなければならない。動物の身体を拘束(動物を保定)する場合は、十分に馴らしてから実験を行なう。給水、給餌の制限をする場合には、動物が苦痛を感じない範囲で健康状態をチェックする。実験途中であっても、強い苦痛が動物に現れた場合には、速やかに動物が苦痛から解放されるように努める。

5-2)外科的処置
 動物に外科的処置を施す場合には、術前管理、滅菌、消毒、感染予防などの配慮をする。さらに動物の苦痛を取り除くために、術前・術中の投薬と麻酔、術後の投薬と介護に十分配慮する。

6.実験終了後の処置
 実験終了後に動物を処分する時には、動物福祉の観点に沿った安楽死処置をしなければならない。総理府告示:「動物の処分に関する指針」に準拠し、麻酔薬の過剰投与などでこれを行なう。屍体および実験に使用した施設や器具等による環境汚染を防止しなければならない。安楽死の方法については、国立大学法人動物実験施設協議会(2004)や日本獣医師会の解説 (2000)を参照する。
7.その他

7-1)動物の飼育・実験実施状況の監視
 各研究機関の動物実験委員会は、動物の飼育・実験が人道的に動物の福祉を配慮して行われているかどうかを監督する責務を負っている。動物実験を計画する会員が、所属する研究機関に動物実験委員会がない場合は、過渡的に本学会の動物実験委員会がその役割を代行する。本学会は、当該研究機関に動物実験委員会を設置するよう助言と支援を行う。

7-2)実験成果の公表
 本学会の学術集会に発表する研究発表は、各研究機関の動物実験委員会、または本学会の動物実験委員会の審査を受けて承認されたものに限るものとする。


参考文献
  1. 国立大学法人動物実験施設協議会:動物実験処置の苦痛分類に関する解説,
    平成16年6月4日http://www.med.akita-u.ac.jp/~doubutu/kokudou/rinri/pain.pdf
  2. NIH:Guide for the Care and Use of Laboratory Animals
    http://www.nap.edu/readingroom/books/labrats/
  3. OECD:Guidance document on the recognition, assessment and use of clinical signs as humane endpoints forexperimental animals used in safety evaluation. Environmental Health and Safety Publications. Series on Testing and Assessment No. 19(2000.11).
  4. 日本実験動物環境研究会:「実験動物の飼養及び保管等に関する基準」についての日本実験動物環境研究会改正案.実験動物と環境 Vol.12(1),71-74,2004.
  5. 鈴木真,黒澤努:日本獣医師会雑誌.解説・報告 米国獣医師会:安楽死に関する研究報告 Vol.58(5),301-304,(6)357-359,(7)443-446,(8)521-524,(9)581-583,(10)649-651,(11)719-721,2000.

 
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