日本糖尿病・肥満動物学会 会の歩み

 糖尿病は高血糖を主要な徴侯とする疾患である。その原因や病態は動物を用いる実験的研究により多くの知見が得られ理解が深まったといえる。
1889年に膵全摘による犬の実験的糖尿病が発見され、その後ホルモン投与による糖尿病、アロキサン、ストレプトゾトシンによる化学的膵摘糖尿病などが発見された。しかしながら、これらはいずれも二次性糖尿病に対応する実験モデルであったために、成因と natural history の解明に自然発症糖尿病実験動物の発見が待望された。
1950年代に偶然のことから肥満高血糖マウスが発見されてその特異な代謝状態が注目されたが、1960年代になりチャイニーズハムスター、そしてわが国ではKKマウス、yelIow KKマウスが発見された。また棲息環境を砂漠から動物舎へと変えたことにより発症したサンドラットの糖尿病も発見された。1970年代にはGKラット、BBラット、NODマウス、NSYマウスなどが次々に発見、開発されるなど、わが国における糖尿病動物の研究が盛んになった。特にBBラット、NODマウスの膵島炎の研究はヒトの1型糖尿病発症機構の理解のもとになったものである。このような状況において、糖尿病動物研究会が結成されて1987年1月第1回学術集会が開催され、以来毎年学術集会が開催されている。
近年は自然発症糖尿病動物に加え各種の遺伝子操作による糖尿病病態の研究も行われ、糖尿病の成因、遺伝、病態、合併症、治療法などをめぐって広範囲の基礎的な研究成果が発表され、糖尿病の臨床に多くの示唆が与えられている。
本学会は自由で学問的な香りの高い会であり、糖尿病に関心をもつ方々の御入会を歓迎する次第である。

2004年2月

日本糖尿病・肥満動物学会名誉会員
後 藤 由 夫(2020年9月3日 逝去)

「日本糖尿病動物研究会」から「日本糖尿病・肥満動物学会」へ

 本会は更なる発展と、会員および関連領域研究者の研究活動の活性化に資するため、2007年2月10日の総会を以って「日本糖尿病動物研究会」から「日本糖尿病・肥満動物学会」へ改称致しました。
今後とも宜しくご支援のほどお願い申し上げます。

2007年2月