「30周年に寄せて」

日本糖尿病・肥満動物学会理事長 寺内 康夫

 2016年3月11日・12日に粟田卓也会長の下、開催された「第30回日本糖尿病・肥満動物学会年次学術集会」で「30周年記念講演」が企画されました。今回、その発表内容をまとめ、会員へ発信することにしました。あわせて、日本糖尿病・肥満動物学会ウェブサイト内に会員専用ページを設けました。

 本学会は1987年1月、「日本糖尿病動物研究会」として発足し、2007年2月、「日本糖尿病・肥満動物学会」へ改称いたしました。創立者であり、初代会長の後藤由夫先生、2代目会長の金澤康徳先生を中心とする先輩の先生方の御尽力により発展してきた本会を、3代目理事長の門脇 孝先生が引き継がれ、学術団体としての学会活動をさらに大きく発展させました。私は、2015年2月より4代目理事長に就任しましたが、30年の節目に際して、今までの総括と将来展望をさせていただくことにしました。

 我が国の糖尿病モデル動物を用いた研究は、研究会として発足当初の頃からの自然発症糖尿病モデル動物を用いた研究に加え、遺伝子改変糖尿病モデル動物を用いた研究も大きく花開いてきました。その過程で、糖尿病動物研究のリーダーとして国際的にも活躍してこられた先輩の先生方に加え、中堅・若手の優秀で熱意のある糖尿病動物研究者も数多く育ってきました。

 2011年の東日本大震災においては多くの実験動物も被災し、東京電力管内で実施された計画停電のために、動物実験施設の縮小・閉鎖が余儀なくされた現実を直視し、災害に強い動物実験施設や動物実験のあり方に関して建設的な提言をしてきました。

 2013年には私が委員長となり、将来検討ワーキンググループを立ち上げ、日本の糖尿病・肥満動物研究をさらに活性化させるために何が必要かを議論し、若手、女性、地方在住の研究者のための研究環境整備にも取り組んできました。2017年2月10日・11日に開催される「第31回日本糖尿病・肥満動物学会年次学術集会」では、会長特別企画として、若手、女性、地方在住研究者がライフワークとして研究を続けるために何が必要か、様々な立場の方から提言していただく企画を成瀬桂子先生(愛知学院大学)、水上浩哉先生(弘前大学)に立てていただきました。

 私はこれまでの会長・理事長が中心となって進められた研究の流れを継承し、学術団体としての学会活動をさらに推進するとともに、産業界や社会に向けた活動も視野に入れ、本会の更なる発展に貢献できればと考えております。研究者、臨床医、実験動物あるいは製薬関連企業の研究者など、糖尿病・肥満動物研究に関わる皆様のご協力ご支援を何卒よろしくお願いいたします。