Vol.11 No.2 November 2007

号頭言 「NODマウス研究会から日本糖尿病・肥満動物学会までを振り返って」

国立病院機構宇都宮病院内科
森  豊 

 本年、本会の理事長に門脇孝教授が就任され、同時に会の名称も日本糖尿病動物研究会から日本糖尿病・肥満動物学会に変更となりました。今回、この号頭言を書くにあたり、この会の現在に至る経緯を述べたいと思います。振り返ってみますと、私と糖尿病動物との出会いは、慈恵医大旧第三内科(通称阿部内科)に入局した1983年にさかのぼります。当時の第四研究室(糖尿病研究室)の門をたたいた私は、先輩に誘われ1984年3月に大阪で行われた第3回NODマウス研究会に参加しました。その研究会で「NODマウスのTリンパ球が減少するのか、増加するのか」についての白熱した議論を目の当たりにし、まさに眼からうろこが落ちるという感じでした。NODマウス研究会は1985年に第4回で終了しましたが、その後本学会の前身である糖尿病動物研究会が当時の後藤由夫東北大学教授(現、名誉教授)によって1987年に設立され、その後第11回(1997年)から日本糖尿病動物研究会(JAADR)と名称が改められ、現在に至っています。さらに、この間に、NONマウス研究会、LETLラット研究会、1995年からはOLETFラット研究会が1999年まで5回開催され、最近ではSDTラット研究会、TSODマウス研究会なども設立されています。また、この分野は国際的にも、Eleazar Shafrir教授(イスラエル)や故Alberto E Renold教授(スイス)らにより“Lessons from Animal Diabetes”という国際ワークショップが開催され、日本でも後藤由夫先生、金澤康徳先生を会長に2回開催されました。1987年のジュネーブで行われた第2回ワークショップでは、会長の故Alberto E Renold教授ご自身のジュネーブ郊外の別荘で行われたパーティーに招待され、また1990年にエルサレムで開催された第3回ワーショップでは、会の最終日に死海へ向かう途中の砂漠において、参加者のために当日捕獲した砂漠にしか生息しないSand rats, Spiny mice(実験室で糖尿病を発症する野生動物)を観察する機会が与えられ、これらは今でも印象的な思い出として残っています。さて、この25年間にモデル動物を用いた糖尿病研究は、大きく様変わりしました。NODマウス研究会から糖尿病動物研究会の初期の頃は、自然発症糖尿病モデルを用いた病因の解明、病態の解析、新しい治療法の開発に関する研究が主体でしたが、最近では、遺伝子改変動物が主流となり、研究手法もまさに遺伝子や分子生物学的解析が増えてきました。そして、これらによって、インスリン分泌低下やインスリン抵抗性の機序、内臓脂肪蓄積や食欲調節機構の機序、アディポサイトカインの研究、糖尿病性細小血管障害や大血管障害の発生機序などの研究分野に大きな進歩がもたらされました。今後この分野の研究はさらに日進月歩進んでいくものと期待されます。ただ、臨床医の立場から、また患者の視点からみた場合、wholeで糖尿病を捉えるといったいわゆる古典的な糖尿病動物の研究も、時代遅れの感はいなめないものの、決して欠くことのできない研究と思われます。
 最後に、糖尿病の臨床医として、また長年古典的な糖尿病動物の研究に携わってきた最後の世代として、本学会が益々発展していくことを期待してやみません。

第22回日本糖尿病・肥満動物学会年次学術集会の開催にあたって

昭和大学医学部第一解剖学教室
塩田 清二

第22回「日本糖尿病・肥満動物学会」年次学術集会を平成20年2月8日(金)・9日(土)の両日に昭和大学旗の台キャンパスの上條講堂において開催させていただくことになりました。
 本学会は昨年度の第21回大会までは、「日本糖尿病動物研究会」として学術集会を行っておりましたが、第22回大会より「日本糖尿病・肥満動物学会」としてその名称を改め、学会として再出発をいたしました。その記念すべき第1回目の大会を、私ども昭和大学で主催させていただきますことは大変名誉なことであり、学会理事長はじめ関係者各位に深く感謝を申し上げます。またそのような重要なターニングポイントとなる学会の船出にあたり、大会会長を引き受けさせて頂いた者として、大変身の引き締まる思いがいたします。主催者としては、実験動物を通じて、糖尿病・肥満研究のさらなる進歩を図ることを目的として、糖尿病のみならずその成因とも考えられる肥満症をも含めた実験動物研究についての研究発表を一般演題として募集させていただき、かつシンポジウムなどを通じて本学術集会の目的が十分に達成できるようなプログラム編成をしていきたいと考えております。
 本学術集会の概要ですが、特別講演者の一人として東京大学の門脇孝先生に糖尿病の発症機序についての分子生物学的研究成果を、さらにもう一人の特別講演者として岡崎生理学研究所の箕越靖彦先生にエネルギー代謝調節の生化学的側面からの研究成果のご講演をお願いしてあります。また、本学会の前身である日本糖尿病動物研究会の黎明期からよく学会活動を熟知されている日本糖尿病財団の金澤康徳先生に特別講演をお願いし、本学会の過去、現在、将来展望などについてご講演いただく予定です。
 一方シンポジウムについては現在のところ2つが企画されています。一つは糖尿病に関する臓器連関とモデル動物についてのものであり、自治医科大学の矢田俊彦先生と京都大学の稲垣暢也先生にオーガナイズしていただきます。他の一つは肥満と摂食調節に関連した遺伝子改変動物を用いた最新の成果についてのものであり、宮崎大学の中里雅光先生と久留米大学の児島将康先生にオーガナイズしていただきます。さらに肥満糖尿病研究のためのモデル動物についてのワークショップを、岩手医科大学の佐藤譲先生と久留米大学の山田研太郎先生にオーガナイズしていただきます。
 大会会場である上條講堂までは、品川駅あるいは五反田駅からも比較的近く、飛行機あるいは新幹線で遠方からおいでいただける先生方にもそれほど不都合はおかけしないのではないかと存じます。ところで、最近の品川周辺の発展は眼を見張るばかりであり、ホテル内に水族館やアイマックスシアターなども出現し、さまざまなレストランとともに夜でも十分楽しむこともできます。遠方からお越しいただける先生方には、品川近辺のホテルなどにご宿泊いただき、新しい東京の玄関である品川を中心として心ゆくまで楽しんでいただければ幸いと存じます。
 最後になりましたが、教室および学内の諸先生方のご協力をえて、主催者として本学会の開催については万全の体制で臨むように努力いたします所存ですので、どうか多数の先生のご来駕と演題発表の申し込みを宜しくお願い申し上げます。

賛助会員の研究(9)株式会社シバヤギの研究支援内容の紹介</h2 >

株式会社シバヤギ
蜂巣 達之

 弊社は1977年創立以来抗体とイムノアッセイ試薬をライフサイエンス分野の多くの研究者に提供し採用いただいてきました。
 特に生活習慣病関連の研究者からのご要望により1997年 検体の前処理なしで当日の内に測定結果を得られるインスリンELISAキット『レビス インスリン-ラット』を開発しました。
 その後、マウス標準溶液をキット構成試薬とした『レビス インスリン-マウス』、絶食時から糖負荷後の経時変化のマウスインスリンを高感度(測定範囲39 ~ 2,500 pg/ml)、微量検体(5μl)で測定可能にした『レビスインスリン-マウス(Uタイプ)』、プロインスリンとの交差性を測定誤差範囲内(5%以内)で測定を可能にした『レビスインスリン-マウス(Sタイプ)』、高濃度領域(500~100,000 pg/ml)を検体希釈なしで測定を可能にした『レビスインスリン-マウス(Hタイプ)』を開発しました。この間にラットインスリンELISAキットの各タイプを始めイヌインスリンELISAキット、ブタインスリンELISAキット、サルインスリンELISAキットを開発してきました。
 専用ELISAキット以外にウサギ標準溶液、ハムスター標準溶液も既存のキットに組み合わせる事によりウサギインスリン並びにハムスターインスリンを測定する事が可能となりました。
 現在、14種類のインスリン測定キット並びに2種類の標準溶液の製品ラインナップを揃え、世界中の糖尿病・肥満モデル動物研究者に供給しています。
 弊社はインスリンELISAキット以外の糖尿病・肥満関連項目としてマウス・ラットC-ペプチドELISAキット、マウスTNFα ELISAキット、マウスレジスチンELISAキット、マウス・ラットレプチンELISAキット、ウサギCRP ELISAキットを開発してきました。
 一方、糖尿病・肥満モデル動物の研究を始める研究者の為にイムノアッセイの教材「ELISA トレーニングキット」を始め、小冊子「ELISA A to Z」、ELISA操作法の動画(DVD)等を用意しています。
 弊社ホームページにはイムノアッセイ全般及びELISAについての詳細な解説や弊社キットをご使用の際の「困った時の対応法」:キット操作Q&A、トラブルシューテイング、ELISAの誤差・変動、お問い合わせ方法等をご案内しています。また、エクセルで標準曲線を作製して演算する情報も提供しております。
 このように弊社は、「研究用試薬製造」メーカーとして2006年にISO 9001:2000を認証取得し、「研究者から喜ばれる製品作り」を会社の使命として、研究者のご要望の製品ラインナップと安定した品質の供給体制に努めてまいりたいと存じます。

株式会社シバヤギホームページhttp://www.shibayagi.co.jp

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